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民泊から旅館業に変えるとき必ず押さえておきたいこと──100㎡の壁と避難路の落とし穴
はじめに
「空き家を民泊にしていたけれど、もっと本格的に旅館業にしたい」
「中古住宅を買って簡易宿所にしたい」
そんな相談がここ数年で一気に増えました。
ネットで調べると「民泊から旅館業にできる」と簡単に書いてある記事も多いのですが、実際には大きな落とし穴がいくつもあります。
そして、その落とし穴は「知っていれば避けられる」ものばかりです。
今日は、よくある誤解とその正しい答えを、わかりやすくお伝えします。
1. 「100㎡の壁」は絶対に避けられない
まず断言します。
👉 用途変更する部分の床面積が 100㎡を超えたら、確認申請は必須です。
これは全国共通のルールです。
「100㎡ちょっと超えたくらいなら大丈夫」と考える方がいますが、それは誤解です。
法律上は1㎡でも超えればアウト。
「知らずに工事をして、後から是正命令」というケースは珍しくありません。
この100㎡の基準を軽く見ないことが、旅館業転用の第一歩です。
2. 「200㎡以下なら不要」──地域差に要注意
一方で、ネットには「200㎡以下なら申請不要」と書いてある情報もあります。
これは一部自治体の独自運用によるものです。
たとえば山梨県では、用途変更部分が200㎡以下なら確認申請を不要としています。
しかしこれはあくまで「その地域だけの特例」。
👉 結論:200㎡ルールは全国共通ではありません。必ず地元の建築主事に確認が必要です。
3. 「建物の古い部分も調べられる」
多くの方が見落とすのがここです。
用途変更は「その部分だけ」では済まず、建物全体の適法性が確認されます。
つまり、昔の増築が無申請だったり、検査済証がなかったりすると、用途変更の前に是正工事を求められます。
「旅館に改修する費用だけのつもりだったのに、何百万も余分にかかった」という事例は本当に多いです。
👉 建物の法的な履歴を、最初に調べることが必須です。
4. 「住宅OKでも旅館業NG」の土地がある
これも誤解が多いポイントです。
「この土地は住宅が建っているから旅館業もできるだろう」と思いがちですが、用途地域によっては旅館業が禁止されているケースがあります。
第一種住居地域など、一見住みやすそうな地域が、旅館業不可の場合もあるのです。
👉 結論:土地の用途地域を確認しないまま計画を立てるのは危険。
5. 階段と避難経路は「旅館業ルール」になる
民泊として住宅を使っていたときは、廊下幅910mmや階段1つで許されていたものが、旅館業に変えた瞬間に「NG」になることがあります。
特に3階部分を宿泊に使う場合、直通階段を2つ設ける義務が出てきます。
しかし実際には既存住宅に階段を増やすのは現実的に不可能で、結果「3階は使えない」という計画変更に追い込まれることも少なくありません。
👉 民泊から旅館業に変えるとき、避難路と階段の条件が一番大きな壁になると覚えておきましょう。
6. 内装も「住宅仕様」では通らない
もう一つ忘れてはいけないのが内装です。
住宅では普通に使っていたクロスや床材が、旅館業では「防火性能が足りない」とされることがあります。
結果として、壁紙や仕上げを全面的に張り替える必要が出ることもあります。
👉 「壁紙を変えるだけで旅館にできる」というのは誤解。防火認定品の使用が原則です。
まとめ:正しい知識が安心をつくる
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100㎡を超えたら用途変更確認は必須
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200㎡ルールは地域限定、全国共通ではない
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建物全体の適法性が問われる
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用途地域によっては旅館業が禁止される
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避難経路や階段が最大の落とし穴
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内装は防火認定品でなければならない
ネットで「民泊から旅館業へ簡単にできます」と書かれている記事もありますが、それを鵜呑みにして失敗する例は数えきれません。
正しい知識を持って、建築士と一緒に計画を進めることが、安心への最短ルートです。
お問い合わせ
当工房では、旅館業用途変更に必要な図面作成や、事前の調査・相談も承っています。
「民泊から旅館業にしたいけれど、何から始めればいいかわからない」という方は、まずはご相談ください。

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