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2025年3月22日土曜日

【第3回】誰が現場を守るのか?“民間任せ”を続けた行政の責任



―連載:現場崩壊と再構築のはざまで―

私は、大工として40年、建築士として35年、さらに国家資格を10以上有し、大手ゼネコンやハウスメーカーの協力会社として、特殊工事から住宅まで数多くの現場に立ち会ってきました。

現場のリアルを肌で知る立場として、今、建設業界の構造が危機的状況にあることを実感しています。

そして、これまでこの構造の崩れを“民間任せ”として放置してきた国・行政の姿勢こそ、見過ごしてはならない**“もうひとつの事実”**なのです。


■ 「制度の外」で戦ってきた施工店たち

住宅産業における多くの施工店や職人たちは、長年、“制度の保護外”で働いてきました。
建築基準法は建物の構造や安全を定めても、職人の待遇や地位には一切触れない
下請法は存在するものの、グレーな契約慣行には届かず、契約書すら交わさず仕事が始まる現場もまだ多いのが実態です。

特にハウスメーカーやゼネコンとの取引では、「言われた通りに動かなければ切られる」空気が根強く、発言権は事実上ゼロに近い。


【事例:法の網からこぼれる“グレー発注”】

中部地方のある電気設備業者はこう語る。
「図面が来て、すぐに現場入り。でも正式な契約書は出ない。後から“これは含まれていない”と報酬を減らされた」
下請法の“対象外”として発注者側が逃げられる構造。こうした発注慣行が建設業の信頼性を根底から壊している。


■ 若手育成も制度から外れている

職人不足が深刻と言われ続けているが、実際に国が現場に対して行ってきた支援はほとんどない。
公共工事では技能者評価制度や賃金目安が存在するものの、**民間住宅工事では完全に“空白地帯”**だ。
その結果、若者は入ってこない。育てる仕組みもない。育成を担ってきた中小の協力店が、いま次々と潰れている。

現場を支えてきたのは、制度ではなく、現場の意地と努力だけだった。


■ 【筆者の提言】行政は“知らなかった”では済まされない

私はあえて言いたい。
これまで国や自治体は、「施工店の地位」「職人の労働環境」について、あまりに無関心だった。

「民間同士の自由な契約」と言えば聞こえはいい。
だがその自由は、力のある側が弱い側を支配する構造を放置するための口実として使われてきた。

そして今、その放置のツケが一気に回ってきている。
施工力の低下、安全性の不安、若手の不在、技術継承の途絶――これらすべてが制度不在による“当然の結果”なのだ。


■ 誰が再構築のスタートを切るのか?

現場の限界はもう、現場の努力だけではどうにもならない段階に来ている。
必要なのは、以下のような制度の側からの本格的な再構築である。

  • 施工店との契約ルールの明文化と標準化

  • 技能者評価・報酬の公的基準の整備

  • 住宅現場における労働安全・工程管理の最低基準

  • 若手職人育成への補助金やキャリア制度の拡充

そして何より、行政が“黙認”ではなく“責任を持つ”という姿勢に切り替えること。
現場を知らない行政に、現場の声を届ける手段を整えること。


私は、誰よりも現場に近い立場から、この構造の崩れをずっと見てきました。

そして今、声を上げなければ、次の世代に何も残せないと確信しています。

建設現場は制度に守られていない。だからこそ、行政が動かなければ、未来はない。


次回は、いま業界が“本当に目指すべき再構築”のあり方について、提言をまとめます。
「建てる人間が主役になる社会」――その実現の可能性を探ります。



 

2025年3月9日日曜日

施工会社・ハウスメーカー選びのポイントは?建築アドバイザーが回答!




家を建てる際、「どの施工会社やハウスメーカーを選べばいいのか?」と悩む人は多いです。家は人生で最も大きな買い物のひとつであり、信頼できる会社を選ぶことが成功のカギとなります。

しかし、施工会社やハウスメーカーには、大手企業から地域の工務店までさまざまな選択肢があります。価格や品質、アフターサービスなど、それぞれに特徴があり、「どこを選べばいいのか分からない」と感じる方も多いでしょう。

そこで今回は、建築アドバイザーが住宅購入者からの質問に答える形で、施工会社やハウスメーカーの選び方について詳しく解説します。


1. ハウスメーカーと工務店、どちらを選ぶべき?

質問者:ハウスメーカーと工務店の違いがよく分かりません。それぞれのメリット・デメリットを教えてください。

建築アドバイザー:ハウスメーカーと工務店には、以下のような違いがあります。
























ハウスメーカーのメリット・デメリット

メリット

  • 品質が安定しており、大手の安心感がある
  • 保証やアフターサービスが充実している
  • 施工期間が短く、引き渡しまでのスケジュールが明確

デメリット

  • コストが高め(広告費・人件費が含まれる)
  • 画一的なデザインになりやすい(自由設計が少ない)

工務店のメリット・デメリット

メリット

  • 地域密着型で柔軟な対応が可能
  • 設計の自由度が高く、オリジナリティのある家が建てられる
  • ハウスメーカーよりもコストを抑えやすい

デメリット

  • 施工の品質が業者によって異なる(腕の良い職人を見極める必要がある)
  • アフターサービスの対応範囲が限られることがある

どちらを選ぶかは、「予算」「設計の自由度」「保証・アフターサービス」のどれを重視するかによります。


2. 施工会社を選ぶ際のチェックポイント

質問者:たくさんの施工会社があって迷います。どのような基準で選べばよいでしょうか?

建築アドバイザー:施工会社を選ぶ際は、以下のポイントをチェックしましょう。

① 会社の実績と評判を確認する

  • 過去の施工実績(施工事例が多いか)
  • 口コミ・評判(ネットのレビューや知人の紹介)
  • 会社の規模(倒産リスクが低いか)

② 施工品質をチェックする

  • モデルハウスの見学(実際の建物の質を確認)
  • 現場見学を依頼(建築途中の現場を見せてもらう)
  • 構造・工法の説明を受ける(耐震・断熱性能など)

③ 見積もりの透明性

  • 総額だけでなく、詳細な内訳を確認する
  • 追加費用の発生がないか事前に聞く
  • 複数社の見積もりを比較する

④ アフターサービスの充実度

  • 保証期間は何年か?(ハウスメーカーは30年以上の保証もあり)
  • メンテナンス費用の有無(定期点検が無料か)

3. 施工会社との契約前に確認すべきポイント

質問者:施工会社と契約する前に、特に気をつけることはありますか?

建築アドバイザー:契約前には、以下の点を必ず確認してください。

  • 契約書の内容をしっかり確認する(工期や仕様変更の条件など)
  • 追加費用が発生しないか確認する(「○○工事別途」の記載に注意)
  • 工期の遅延時の対応を確認する(遅れた場合のペナルティなど)
  • 住宅ローンの審査が通るか事前に確認する(資金計画をしっかり立てる)

契約後にトラブルが起こるケースもあるため、納得できるまで確認しましょう。


4. まとめ:施工会社・ハウスメーカー選びのポイント

質問者:たくさんの情報をありがとうございます!最後に、施工会社選びで一番大切なことを教えてください。

建築アドバイザー:施工会社選びで最も大切なのは、「自分の希望に合った会社を選ぶこと」です。

今回のポイントをまとめると…

  • ハウスメーカーと工務店の違いを理解する(大手の安心感 vs 地域密着の自由度)
  • 施工実績や口コミをチェックする(信頼できる会社を選ぶ)
  • 見積もりの透明性を確認する(追加費用のリスクを減らす)
  • 保証やアフターサービスを確認する(長期的に安心できるか)

家を建てる施工会社選びは、住宅の完成度や住み心地を大きく左右します。焦らず慎重に比較し、納得できる会社を選びましょう!

この記事が、あなたの家づくりに役立つことを願っています。


 

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こんにちは。 私は、大工の棟梁として現場に立ち続けながら、同時に1級建築士として設計にも関わってきました。 一見すると正反対のように見える「手を動かす職人」と「机上で図面を描く建築士」。 そのどちらにも本気で向き合ってきたからこそ、伝えたいことがあります。 それは、 図面...