大工のおっちゃん工房
建築に関連する情報を総合建築アドバイザーの一級建築士がお伝えします
20.10.26
【現場告白】中古マンションの「暴落危機」をどう打開するか?――大工40年・建築士30年が明かす再生の処方箋
14.10.26
木造BIMで始まる「いいとこどり」の終焉──本当に危ないのは、過去の実績で選ぶ施主だ
建築業界でBIM化が進み、「意匠・構造・設備・施工を一つのデータで共有し、不整合をなくそう」という声が日増しに大きくなっています。
確かに、3次元で事前に納まりを確認し、施工の手戻りを減らすという理屈は一見非の打ちどころがありません。
しかし、長年現場で木を刻み、図面を引いてきた立場から見ると、現在語られている木造建築のBIM論には強い違和感を覚えずにはいられません。
木造BIMで本当に問題になるのは、ソフトウェアの性能でもデータの互換性でもありません。
「誰の図面が正(本物)なのか」 「建築を受注した会社が、自ら舵を取る覚悟があるのか」
という、極めて生々しい「責任の所在」そのものなのです。
7.10.26
「建築士の証明書があれば大丈夫」の罠。旅館業参入で不動産屋と管理会社がひた隠す無責任な闇
「この古民家、民泊や簡易宿所にすれば毎月〇十万円の利益が出ますよ」
「検査済証がなくても大丈夫です。建築士に『証明書』を一筆書いてもらえば保健所の許可は降りますから」
近年のインバウンド需要や宿泊ビジネスの過熱に乗じて、不動産業者や旅館業・民泊の運営管理会社がオーナーに持ちかける甘いセールストークです。利回り計算の綺麗なシミュレーションシートを見せられ、夢を膨らませて築古の空き家や中古ビルを買い取ったオーナーさんが後を絶ちません。
しかし、大工として40年現場で建物を触り続け、一級建築士として30年確認申請や用途変更の実務を手がけてきた私から言わせれば、こうした言葉の9割は「売った後は野となれ山となれ」の無責任極まりない手口です。
今回は、不動産屋や代行管理会社が絶対に客の前では明かさない「旅館業取得と建築士の証明」にまつわる業界の深い闇を暴露します。
「高気密・高断熱」の闇。リフォームで壁を剥がした大工が絶句した「見えない手抜き」の現場実態
「この家はUA値が〇〇だから冬暖かく、夏涼しいですよ」
「最新の高気密・高断熱仕様なので結露とは無縁です」
ハウスメーカーの住宅展示場に行けば、営業マンが誇らしげに並べ立てる「性能値」の数々。図面やパンフレットに踊る美辞麗句を見て、「これなら安心だ」と何千万円もの住宅ローンを組む施主さんが大半です。
しかし、現場で玄能(げんのう)を握り続けて40年、一級建築士として図面を引き続けて30年になる私から言わせれば、その数値の半分は「現場が完璧に施工されていれば」という仮定の話に過ぎません。
建築の世界には、業界の人間なら誰もが知っていながら、口を揃えて黙り込むタブーがあります。それは、「壁を塞いでしまえば、どれだけ酷い施工をしても施主にも検査官にも一生バレない」という現実です。
今回は、リフォームや耐震改修の現場で石膏ボードをめくった瞬間、私たち職人が思わず息を呑み、言葉を失う「壁の向こう側の実態」をすべてお話しします。
4.10.26
中古住宅を省エネ住宅にするには? どこまでやるか、いくらかかるか、法令で必要なこと
中古住宅を買ってリフォームするとき、
「せっかくなら断熱も良くしたい」
「冬の寒さをどうにかしたい」
「窓を替えれば省エネになるのか」
と考える人は多い。
ただ、実際に計画を始めると、断熱材を何にするかだけでは話が進まない。
どこまで性能を上げるのか。どの部分を先に直すのか。法令上必要になる工事はあるのか。全部やった場合に、どのくらい費用が掛かるのか。
中古住宅の省エネ改修は、新築のように最初から自由に性能を決めるのではなく、今ある建物を見ながら、希望と法令と予算をすり合わせていく仕事になる。
ここが一番大きな違いだと思う。
2.10.26
中古住宅を買ってリフォームする時代へ? 2026年住宅ローン減税から見える「既存住宅」の新しい評価
住宅を買うと聞くと、今でも最初に「新築」を思い浮かべる人は多いと思う。
土地を探し、新しい家を建てる。
あるいは、新築の建売住宅やマンションを購入する。
長い間、日本の住宅市場はこの流れを中心に動いてきた。
しかし、最近の住宅政策を見ていると、国の考え方は少しずつ変わってきている。
その変化が分かりやすく表れているのが、2026年度の住宅ローン減税だ。
住宅ローン減税そのものは5年間延長され、2030年末まで継続される。一方で今回の改正では、単に住宅取得を支援するだけではなく、省エネ性能の高い既存住宅への支援を拡充する方向が明確になった。国土交通省
これは税金だけの話ではない。
これからの住宅市場が、
「新しい家を建てる」だけでなく、「今ある家をどう使うか」
という段階へ移りつつあることを示している。
1.10.26
建築確認が「図面を見る」から「BIMを見る」へ? 2029年春に始まるBIMデータ審査とは
建築確認申請といえば、平面図、立面図、断面図、配置図、構造図など、必要な図面をそろえて審査してもらう。
現在では電子申請も増えたので、紙からPDFへ変わった部分はあるが、基本的な考え方は同じだ。
審査するものは「図面」である。
ところが、その建築確認がもう一段階変わろうとしている。
国土交通省は2026年9月18日、「建築確認・検査におけるBIMデータ審査の導入に関する基本構想」を公表した。
予定されている開始時期は2029年春。
BIMで作った図面を提出するだけではなく、将来的にはBIMデータそのものを建築確認・検査に利用する方向へ進もうとしている。国土交通省
断熱材は何が違う? 高断熱住宅をつくる前に知っておきたい断熱の基本
前回の記事では、
「省エネ基準を満たせば、本当に暖かい家になるのか?」
という話を書いた。
その中で触れたのが、断熱材だけを厚くすれば暖かい家になるわけではない、ということだった。
では、その断熱材自体にはどんな違いがあるのだろうか。
住宅で使われる断熱材には、グラスウール、ロックウール、吹付硬質ウレタンフォーム、硬質ウレタンフォーム、フェノールフォーム、セルロースファイバーなど、かなり多くの種類がある。
カタログを見ると、熱伝導率や密度、厚みといった数字が並んでいる。
数字だけを見ると、
「一番性能の良い材料を使えばいいのでは?」
と思いたくなる。
しかし、実際の住宅ではそれほど単純ではない。
断熱材は住宅性能を決める重要な要素だが、それだけで「暖かい家」が決まるわけではない。
30.9.26
小さなリフォームでも「口約束」では済まなくなる? 2026年改正建築士法で設計契約はどう変わる
住宅の間取りを少し変更したい。店舗の改装図面を描いてほしい。既存建物を旅館業で使えるか確認してほしい。
建築士の仕事というと、新築住宅や大きな建物の設計を想像されることが多いが、実際にはこうした小規模な依頼もかなり多い。
仕事の規模が小さい場合、見積書やメールで内容を確認し、そのまま作業に入ることも珍しくない。依頼する側も、建築士側も、「このくらいなら大げさな契約書までは必要ないだろう」と考えやすい。
しかし、2026年7月31日に公布された改正建築士法では、こうした設計・工事監理契約の扱いが見直された。
今回の改正には、建築士の確保に関する制度見直しとともに、設計・工事監理業務の契約をより適正な形にしていく内容が含まれている。
その中でも実務への影響が大きいのが、これまで延べ面積300㎡を超える建築物を中心としていた契約書面の規定について、面積による限定をなくす方向が示されたことだ。
つまり今後は、大規模な建築物だけではなく、住宅、小規模店舗、リフォームなどでも、設計や工事監理を依頼するときに「何を依頼したのか」を明確にすることが、これまで以上に重要になってくる。
29.9.26
省エネ基準を満たせば、本当に暖かい家になるのか?――断熱材を厚くする前に考えたいこと
最近、省エネについて少し気になる問い合わせが増えています。
「結局、断熱材はどれくらい入れれば暖かくなるんですか?」
「省エネ基準をクリアしている家なら、本当に冬は暖かいんですか?」
というものです。
この質問が出てくるのも分かる気がします。
2025年4月から新築住宅などへの省エネ基準適合が義務化され、さらに国は遅くとも2030年までに基準をZEH水準へ引き上げる予定です。2026年の「みらいエコ住宅2026事業」では、GX志向型住宅に断熱等性能等級6以上が求められるなど、住宅性能は確実に高い方向へ進んでいます。国土交通省
ところが、制度や計算の話ばかり先行すると、
「数字をクリアすれば、それで暖かい家になるのか?」
という素朴な疑問が残ります。
結論から言えば、私は「省エネ基準への適合」と「実際に暮らして暖かいと感じること」は、分けて考えた方が分かりやすいと思います。
28.9.26
なぜ旅館業で「建築士の証明書」が必要になったのか 200㎡以下でも適法確認を求める本当の意味
最近、私のところには「建築士による証明書を出してもらえませんか」という問い合わせがかなり増えている。
しかも、たまに来るという程度ではない。旅館業や簡易宿所を始めようとしている人から、ほぼ毎日のように相談が入る。
なぜ、急にこうした依頼が増えているのか。
その背景には、2026年5月28日に厚生労働省と国土交通省が出した「旅館業の許可時における建築基準法への適合確認の徹底について」という通知がある。今回の通知では、旅館業許可の際に、建物が建築基準関係規定に適合していることを、これまで以上に明確に確認する方向が示された。
ここで重要なのは、単に新しい書類が一枚増えたという話ではないことだ。
むしろ、「確認申請が不要な小規模物件でも、本当に建築基準法に適合しているのかを確認する」という考え方が、より明確になったと見るべきだと思う。
職人不足1.3%ってどういう意味? 建設業の「人が足りない」を住宅づくりから考える
建築業界で仕事をしていると、
「職人がいない」
「大工が捕まらない」
「工事の日程が組めない」
という話を聞くことが珍しくなくなった
では、本当に建設業では人が足りていないのだろうか
2026年9月25日、国土交通省から最新の「建設労働需給調査」が公表された
全国8職種の過不足率は、8月時点で1.3%の不足
7月は1.2%の不足だったため、前月より0.1ポイント不足幅が拡大している
さらに前年の2025年8月は0.9%の不足だったので、前年同月と比較しても0.4ポイント不足幅が広がったことになる 国土交通省
数字だけを見ると、
「1.3%なら、それほど大きな不足ではないのでは?」
と思う人もいるかもしれない
しかし建設業の場合、この数字は少し違った見方をした方がいい












