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2025年6月7日土曜日

【旅館業付き不動産の9割は買ってはいけない──建築士が警鐘を鳴らす“買ってはいけない物件5選”と管理会社の闇】


 

「旅館業可能」「高利回り12%」「管理もすべてお任せ」──これらの甘い言葉で売られる不動産が、近年不動産市場にあふれている。インバウンド回復や地域活性化を背景に、旅館業付き不動産は一見魅力的な投資対象に見えるかもしれない。しかし、現実にはその大半が「買ってはいけない」物件である。

私は建築士として、用途変更・構造安全・申請実務に日々携わってきた立場から、投資家の皆様に警鐘を鳴らしたい。実態を知らずに手を出すと、儲けるどころか負債と法的責任を背負い込むことになる。この記事では、その根拠を具体的に示しながら、「買ってはいけない旅館業物件」と、隠れたリスクを抱える管理会社の実態に切り込む。


■ 1. 「旅館業付き」の定義は曖昧である

「旅館業付き」と一口に言っても、それが旅館業法上のどの区分を指しているのか明確にされていない場合が多い。旅館業には「ホテル営業」「旅館営業」「簡易宿所営業」などの区分があり、それぞれ構造要件や消防法の規定が異なる。

「許可取得済」と書かれていても、それは旧オーナー時代の話であり、名義変更ができないこともある。また、「許可申請中」「取得予定」という文言には何の法的保証もない。最も多いのは、そもそも旅館業を許可するために必要な前提(用途地域、建物構造、避難経路等)を満たしていない物件に「旅館業可能」とラベルだけ貼られているパターンだ。


■ 2. 買ってはいけない旅館業物件5選

以下に、私が現場で実際に見てきた「買ってはいけない典型例」を挙げる。

【1】ワンルームマンション型物件 → 簡易宿所として運用する計画だが、界壁の基準を満たしておらず、避難経路も不備だらけ。そもそも建物用途が集合住宅のままで用途変更申請もされていない。

【2】木造3階建ての住宅転用物件 → 旧耐震の木造住宅をリノベーションして宿にしようという無理な計画。3階建て木造は消防法のハードルが高く、スプリンクラー設備や排煙計画で申請が通らない。

【3】商業地域にある築古ビル → 用途地域はOKでも、構造計算書がなく、階段幅や廊下幅が基準を満たしていない。補強も困難で「現状のまま営業可能」と言われたが、法的根拠がない。

【4】景観保護区域の古民家 → 雰囲気は良く観光客にも人気が出そうだが、景観条例や文化財保護の制限があり、屋根形状や外壁材すら変更できない。内装改修でさえ行政との調整が必要。

【5】既に旅館営業中の転売物件 → 許可は現オーナー名義であり、売買後に許可が失効する可能性がある。購入者は新たに全て申請し直す必要があり、知らずに契約すると無許可営業の責任を問われる。


■ 3. 管理会社の甘言と免責構造

「フル代行管理」「清掃も運営もすべてお任せ」と謳う管理会社の実態を見てみると、そのほとんどが契約上の“責任回避”構造になっている。営業許可が取れない場合も「オーナー責任」、近隣トラブルや行政指導が入った場合も「オーナー判断」として、法的・実務的な責任はすべて投資家に押し付けられる契約になっていることが多い。

さらに、管理会社によるレビュー対応がずさんで評価が下がったり、清掃が行き届かずに稼働率が低下したりしても、補償されることはない。「稼働率80%超」などの数字も、過去実績ではなく“想定”でしかないケースが多い。


■ 4. 設計士から見る「本物の価値」

建築士の立場から見れば、「旅館業許可が取れている」ことはスタート地点に過ぎない。むしろ重要なのは、

  • その建物が構造的に長期運用に耐えられるか

  • 消防・避難・断熱・音環境が現代の宿泊ニーズに適合しているか

  • リノベーションの余地があり、用途変更の計画に柔軟性があるか

という“実装可能性”である。

設計士・法務・運営の三位一体でなければ、旅館業運用は成立しない。中途半端な許可や無責任な管理会社に委ねることは、自ら破綻への道を選ぶに等しい。


■ 5. 結論:「買うな」と言える根拠

私はあえて断言する。「旅館業付き不動産」は、その9割が買ってはいけない物件である。

建築・法令・制度を知らない者が、「高利回り」「合法運用」などの言葉で無知な投資家を惑わしている。そして、それに踊らされるのは、構造を読み解けない者、設計図を読み取ろうとしない者である。

目の前にある物件、その利回り表の前に、まずは設計図を開いてほしい。

そして最後にこう問いかけたい。

「その物件、あなた自身の責任で“運営できる”と言い切れますか?」

2025年3月21日金曜日

施工会社との連携方法とは?賃貸リフォームを成功に導く付き合い方を解説!




賃貸物件の空室対策や家賃改善に取り組む中で、「どの施工会社に頼むべきか」「思い通りに仕上がらなかったらどうしよう」といった不安を感じた経験はありませんか?

たとえば、「せっかくデザイン提案を受けたのに、施工会社がうまく対応してくれなかった」「現場でトラブルがあって予定通り進まなかった」というケースは、実際によく聞かれます。

こうした問題の多くは、「施工会社との連携不足」や「事前のすり合わせ不足」によって起こっています。
しかし、あらかじめ正しい関わり方と準備のコツを知っておけば、トラブルを回避しながら、リフォーム効果を最大限に高めることができるのです。

本記事では、不動産投資や賃貸運用における「施工会社との上手な連携方法」について、初心者にも分かりやすく、実例や注意点を交えて解説します。


なぜ施工会社との連携が賃貸経営のカギになるのか?

空室対策や物件の価値向上のために、原状回復だけでなくデザインリフォームを取り入れるオーナーが増えています。

しかし、どれだけ良い提案やアイデアがあっても、それを「きちんと形にしてくれる施工会社」との連携が取れていなければ、成果は得られません。

施工会社とのすれ違いでよくある例としては、次のようなものがあります。

  • イメージしていた仕上がりと違う
  • 工期が大幅にずれ、入居募集のタイミングを逃す
  • 材料選びのミスで追加費用が発生した

逆にいえば、施工会社との関係がスムーズであれば、工期も予算も抑えられ、イメージ通りの仕上がりが実現します。

ここからは、信頼できる施工会社を選ぶ方法と、連携を成功させるためのポイントを具体的にみていきます。


施工会社選びで失敗しないための3つのチェックポイント

施工会社は「価格」だけで決めてしまいがちですが、費用が安いだけではトラブルの原因になります。選定時には、以下のポイントに注目しましょう。

① 賃貸物件の施工実績があるか?

賃貸物件は、入居者ターゲット・退去頻度・コスト意識などが自宅リフォームとは異なります。
施工会社の中には「住宅リフォーム専門」で、賃貸運用の事情に疎い場合もあるため、過去の賃貸物件対応実績を確認することが重要です。

② 提案内容が的確かどうか?

見積もりを依頼したときに、「ただ作業の内容と金額だけ書いてある」会社もあります。
良い施工会社は、工事の目的や効果をふまえた提案(コストの理由、代替案、写真など)をセットで提示してくれます。

③ 担当者の対応が信頼できるか?

見積書や提案内容よりも、実は大切なのが担当者の人柄です。
言葉遣いや説明の分かりやすさ、返信の早さなどから、“誠実に付き合える相手かどうか”を見極めましょう。


工事前にやっておくべき“情報共有のコツ”

施工会社との連携をスムーズにするには、**着工前の「情報共有」**が非常に大切です。

とくに、以下の4点は最初の打ち合わせ段階で必ず共有しておくことをおすすめします。

① 目的とゴール(何を解決したいのか)

例:「空室が長いので印象を良くしたい」「ファミリー向けに設備を整えたい」

② デザイン提案がある場合、その資料一式

提案をそのまま施工に反映できるよう、図面・イメージ写真・素材指定などを事前に渡しておきましょう。

③ 予算と納期の上限

追加工事やトラブル時の判断に役立ちます。「〇円以内で済ませたい」「〇月までに入居開始したい」と明確に伝えることで、ズレが起きにくくなります。

④ 入居募集のスケジュール

不動産会社との連携もあるため、「写真撮影までに完成しておきたい」「完成後すぐ内見が入る」といった日程も共有しましょう。


デザイン提案と施工を分けるスタイルもおすすめ

「デザインは得意じゃないけど、施工は昔からの付き合いの大工さんに頼みたい」
という方には、提案と施工を分離するスタイルが特におすすめです。

たとえば、デザイン提案だけを行う「大工のおっちゃん工房」のようなサービスを利用すれば、プロの目線で改善ポイントを教えてもらいながら、施工は自分の信頼する職人さんに任せることができます。

このスタイルは、以下のメリットがあります。

  • 提案と施工を分けることで、コスト調整がしやすい
  • 職人さんの“いつものやり方”にプロの視点を加えることができる
  • 工務店への説明がスムーズになり、トラブルを防げる

実例:スムーズな連携で満室達成に成功した事例

東京都内、築31年の2DKアパート。退去が重なり空室が2部屋続く中、外観も内装も古さが目立ち始めていました。

オーナーは、デザイン提案サービスを活用して、「収納の見せ方」「照明の工夫」「クロスの色のバランス」などの提案を受けたうえで、施工はいつもの工務店に依頼。

提案書を事前に共有し、工事前に3者でLINEグループを作成してやり取りを行うことで、イメージ通りの仕上がりが実現。

結果:

  • 家賃+3000円で募集
  • 写真の印象も良く、掲載1週間で両室成約
  • 職人さんからも「分かりやすくてやりやすかった」と好評

連携がうまくいかないときの対処法

どれだけ準備をしても、連携がスムーズにいかないケースもあります。
そんなときは、次のように対応しましょう。

  • 工程表を作って共有し、「いつ・何をやるか」を明確にする
  • 話し合いの内容は、メールやLINEなど記録が残る形で確認
  • 提案者(デザイナー)と施工者をつなぐ「翻訳役」を1人決める(オーナー自身でもOK)

問題は早期に発見・共有することで、大きなトラブルになる前に解決できます。


まとめ

施工会社との連携は、賃貸リフォームや空室対策の成功を大きく左右する要素です。
価格や実績だけでなく、「目的の共有」「提案資料の活用」「丁寧なやり取り」など、コミュニケーションを丁寧に行うことで、想像以上にスムーズな改善が可能になります。

特に、デザイン提案を活かした「提案+施工」の連携スタイルは、効果的かつ現実的な方法として注目されています。

「良い施工会社との良い関係」が、長期にわたる賃貸経営の安定と成長につながることを、ぜひ意識してみてください。


 

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