近年、中古住宅を購入してリフォームし、賃貸物件として運用する人が増えています。
しかしその一方で、**「見た目だけ整えて貸す」**という考え方による失敗事例も後を絶ちません。
この記事では、現場を知る**大工の視点から「本当に貸せる家の条件」**について解説します。
■ 実際にあった依頼:「中身はどうでもいいので、安く綺麗にしてください」
ある不動産会社からのリフォーム相談で、こう言われたことがあります。
「構造とかは無視でいいので、見た目だけ綺麗にしてくれればいいんです。とにかく安く。」
正直に言うと、こういった依頼は少なくありません。
ですが私は、この依頼をお断りしました。
■ リフォームは“表面だけ”では意味がない
なぜかというと、**リフォームとは「住める家にするための工事」**だからです。
見た目を整えるだけでは、以下のようなリスクが残ります:
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床下が腐っていて床が沈む
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柱や梁にシロアリ被害がある
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天井裏に雨漏りの跡がある
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換気が悪くて結露がひどい
これらを放置したまま賃貸に出すと、入居者からのクレームや早期退去につながるばかりか、オーナーにとっても管理コストが跳ね上がる原因になります。
■ 賃貸リフォームで大切なのは「点検」から始めること
中古住宅のリフォームでは、以下の“見えない部分”の点検が不可欠です。
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床下:湿気・シロアリ・腐食の確認
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天井裏:雨漏りや結露の跡の有無
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柱や梁:構造的な欠陥がないか
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設備配管:老朽化や漏水のリスク確認
この“裏側の確認”をしないままリフォームを進めてしまうと、後からやり直しになることも多く、結果的に費用も手間も倍かかることになります。
■ では、どこまで直せば「貸せる家」になるのか?
賃貸として運用するために必要なリフォームのラインは、実はそれほど高くありません。
ポイントは以下の通りです:
✅ 床下・天井裏・構造に大きな不具合がない
✅ 雨漏りやシロアリの痕跡がない
✅ 水道・電気・排水などのインフラが正常に機能している
✅ 日常生活に支障がない程度の内装が整っている
このラインを満たせば、「貸せる状態」としては十分です。
逆に言えば、**内装が新しくても構造に問題がある物件は“住めない家”**です。
■ 見た目に騙されない「本当に住める家」のつくり方
最近では「セルフリノベーション」や「DIYで賃貸物件をつくる」といった情報も多く出回っていますが、
大事なのは見た目ではなく、“長く住めるかどうか”という根本的な視点です。
たとえ古くても、構造的にしっかりしていて、安全に暮らせる住宅であれば、十分に入居者に選ばれる賃貸物件になります。
■ まとめ:リフォームは“点検”から。中身を無視したリフォームは、いずれ破綻します。
中古住宅のリフォームで失敗しないために必要なのは、
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きちんと「中身」を点検すること
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最低限“安全に住める家”にすること
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無理に豪華な内装にする必要はない、という意識
です。
表面的な仕上げに惑わされず、**「見えない部分を大事にするリフォーム」**こそが、これからの資産運用としての賃貸経営に欠かせない視点です。
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