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2025年4月4日金曜日

なぜ“説明不足”は繰り返されるのか? 〜家づくりの現場で起こる、見えないすれ違い〜


最近私が感じる『無責任施工』というイメージについて考えてみました

相談者の内容で感じた事、そして施工側の反論、あなたはどう感じるでしょうか?


はじめに:「現場の技術力」だけでは信頼は生まれない

設計に携わる者として、現場を納める職人として、そして一級建築士として。
私はずっと住宅の現場に身を置いてきました。

その中で確信していることがあります。

家づくりの失敗は、図面の精度や施工の質ではなく、“伝え方の甘さ”から起きる。

技術や経験に裏打ちされた施工をしても、「聞いてない」「そんなつもりじゃなかった」と言われてしまえば、それは“評価されない仕事”です。
今回は、説明不足の原因を深掘りし、現場側が取るべき具体的な解決策を提示します。


①「忙しいから説明できない」は、言い訳にならない

【問題】
確かに現場は多忙です。工程調整・段取り・監督業務と、1日が目まぐるしく過ぎるのは事実です。
ただ、それを理由に施主への説明を後回しにするなら、それは**「段取りの優先順位」が間違っている**と言わざるを得ません。

【解決策】

説明の時間は工程に組み込んでおく。それが「現場を回す力」そのものです。

段取りに“伝える工程”を含めることで、結果的に手戻りも減り、現場の雰囲気も整います。
説明の軽視は、最終的に現場全体の質を下げます。


② 「専門用語の壁」は、施工者側が崩すべき

【問題】
建築の言葉は、図面を読み慣れた人間にとっては日常でも、施主にとっては「ほぼ外国語」です。
用語だけで進めれば、施主は表面上うなずいても、実際は理解できていないという状態になります。

【解決策】

専門用語は使ってもよい。ただし、“翻訳付き”で伝えることが絶対条件です。

たとえば「壁芯から910mm」という場合、間取り感覚や生活動線と結びつけて説明する。
イラスト、写真、模型、パース…使える手段はすべて使い、理解を置き去りにしない努力をする。
それがプロの責任です。


③ 打ち合わせは「伝える場」ではない。「確認する場」である

【問題】
「説明しました」「同意をいただきました」だけでは、不十分です。
施主がその内容を“自分の言葉で説明できる”レベルでなければ、理解したとは言えません。

【解決策】

打ち合わせのゴールは“理解の可視化”。意思決定が本当に成立しているかを確認せよ。

私は毎回、重要な内容については「この仕様で進めますが、どういう内容か説明できますか?」と逆質問を入れます。
その答えが曖昧なら、もう一度説明し直します。
“伝えた”ではなく、“伝わった”をゴールにすること。これが信用につながります。


④「何回説明したか」ではなく、「どこまで届いたか」

【問題】
説明を繰り返したつもりでも、施主の納得感が得られていないケースは多い。
多くの場合、それは言葉の選び方や伝える順序が適切でないことが原因です。

【解決策】

説明は、“理解のプロセス”に合わせて構成する。量ではなく、届け方を設計する。

図面→写真→パース→実例→サンプルという順で、「情報が腑に落ちる流れ」を作る。
また、言葉は抽象ではなく具体で話す。
たとえば「ナチュラルな仕上げです」ではなく、「無塗装のバーチ材を使い、光で少し黄味が出ます」と説明する。
このレベルまで掘り下げることで、“プロとしての違い”が伝わります。


⑤ 完成後の「思っていたのと違う」は、完全に防げる

【問題】
仕上がり後に「色味が違う」「雰囲気が想像と違った」という声は、どれだけ現場を丁寧に納めても発生することがあります。
これは材料や施工精度ではなく、“完成イメージの共有不足”によって起きるミスコミュニケーションです。

【解決策】

イメージのすり合わせは、“視覚情報”で行う。それが最も信頼を得る方法です。

私はパース・スケッチ・サンプル・過去の施工例をすべて用意し、「これからつくる家」が具体的にイメージできるようにしています。
“頭の中の想像”を一致させてから工事に入れば、トラブルは激減します。


おわりに:「伝えきる力」が、技術より信頼を生む

現場力・施工精度・段取り力――どれも住宅施工において重要な技術です。
でも、それ以上に大切なのは、「それをどう伝えるか」というコミュニケーション力です。

説明は作業ではない。説明は、“信用を築くための行動”である。

クレームを減らしたい、信頼されたい、紹介を増やしたい――。
どれもその根底には、「伝わる説明」が必要不可欠です。

私たちはこれからも、「伝えきる力」を磨き続けます。
それが、選ばれる施工店であり続ける唯一の方法だと確信しているからです。

信頼できる施工店になる事は、言葉などではなく1つ1つの仕事を確実に丁寧に仕上げるという地道な繰り返しなのです

ですが、それを言葉で伝える努力も怠ってはいけない事です

 

2025年3月22日土曜日

【第4回】建てる人間が主役になる社会へ ― 再構築のための現実的な提言




―連載完結:現場崩壊と再構築のはざまで―

私は、大工として40年、建築士として35年、国家資格10種以上を持ち、大手ハウスメーカーのアパート部門から、滑走路建設・地中杭工事・高速道路補修など、通常の施工店では踏み込めない現場にも数多く関わってきた立場から、この連載を書いてきました。

今回の最終回では、これまで示してきた**“事実”に基づき、業界再構築に向けて何が必要か**を、脚色なしで具体的に提言します。

この現場が、本来の意味で“建てる人間が主役”となる社会に変わるために――。


■ 現状は「現場任せの制度不在」がすべてを崩している

施工単価の引き下げ、無理な納期、契約不在、若手の不在。
いずれも“自然に起きた問題”ではない。
制度も仕組みも、長年放置された結果として、現場が限界を迎えているだけの話だ。

「自由な契約」「民間同士の責任」――この便利な言葉が、
あらゆる不正・圧力・責任放棄を正当化する盾になってきた。

実際に現場で手を動かし、命をかけて建てている者たちが、一番立場が弱く、リスクも背負い、声も届かない。
この構図を放置しておきながら、「技術が継承されない」「人が育たない」と嘆くのは、まったくの的外れでしかない。


■ 再構築に必要なのは「明文化」と「可視化」

現場が再び息を吹き返すためには、“あいまいな力関係”を明文化し、制度の中に取り込むことが必要だ。
以下は、私の立場から見た最低限の再構築案である。


① 標準契約の義務化

工事単価、支払い時期、追加工事の取扱い、現場責任の範囲――これらをすべて明文化した契約書を、すべての工事で交付・署名を義務化すべきだ。
「メールで済ます」「口頭で合意した」では、現場は守られない。


② 技能者の報酬基準と評価制度

公共工事ではすでに存在する職種別の技能評価や賃金モデルを、民間住宅にも義務的に適用すべきである。
実績・技術・責任に見合った報酬がなければ、若手が入ってこないのは当然の話だ。


③ 若手職人育成制度の強化

国が主導して、施工技術・安全管理・図面読解の実務教育を全国標準化し、教育機関と連携して設ける。
「見て覚えろ」ではなく、「教える制度」がなければ、人材は確保できない。


④ 情報格差の是正と元請けの説明責任

ハウスメーカーやゼネコンが発注時に提供する設計図や仕様書には、現場側の判断に必要な情報をすべて記載する義務を持たせるべきだ。
「現場判断で」と投げておいて、ミスは責任転嫁――この慣行は一掃されなければならない。


■ 現場を「守る」から「認める」へ

最後に、私は強く訴えたい。

現場を“守る”という言葉は、どこか弱者としての扱いに聞こえる。
だが、本来は違う。
現場こそが、業界の価値そのものを支えている。

泥に足をつけて建てる人間たちが、正当に評価され、発言し、責任と対等に向き合える仕組み。
それこそが、建設業界を根本から再構築する唯一の道である。


私は、誰よりも多くの現場を知っている。
そして、今、誰かが声を上げなければ、本当に“建てる人間”がいなくなる。

この連載で伝えてきたのは、すべて現実であり、すべて事実である。

**制度は意志から始まる。
声を上げる者がいなければ、何も変わらない。

私は声を上げる。今この瞬間も、現場で汗を流している人たちのために。**


これにて、全4回の連載は完結です。
最後までご一読いただき、誠にありがとうございました。


 

【第2回】図面通りにつくれば壊れる ― 設計と現場の断絶は“事実”だ




―連載:現場崩壊と再構築のはざまで―

私は、大工として40年、1級建築士として35年現場に立ち続けてきた職人です。
国家資格は10以上、建設業に関わる幅広い分野の実務を経験してきました。
ハウスメーカーのアパート部門、大手ゼネコンの特殊工事にも協力会社として関わり、滑走路建設・高速道路補修・地中杭といった通常の施工店では踏み込めない現場も数多く手がけてきました。

そんな私が、いま業界全体に崩壊の危機を感じているのです。
そしてこのコラムは、単なる意見や評論ではなく、“現場の事実”に基づいた警鐘であることを、まず強くお伝えしておきます。


■ 設計と現場の断絶は、目を背けられない“事実”

「設計通りにやってください」
この一言が、現場の苦労をすべて無視する言葉であることに、気づいていない設計者が多すぎる。
設計図の納まり、構造の整合性、設備のルート。現実には矛盾だらけの図面が今もなお現場に届いている。


【現場事例①】換気ダクトが構造梁に干渉

天井裏に通す設計の換気ダクトが、構造梁に干渉して物理的に通らなかった。
指摘すると「現場で対応を」と丸投げ。結果、断熱材を削り取って納めるしかなくなり、性能面に明確な影響が出た


【現場事例②】構造を無視した見た目優先の設計

大開口窓を設計通りに施工すれば、耐力壁の位置がなくなり建物が不安定になる。
設計側は「カタログ映えを重視したいから」と、現場の指摘を無視。
耐震性より“見せ方”が優先されるという本末転倒の判断が、普通に行われている。


【現場事例③】設計と現場が完全に断絶

図面を基に施工を始めたが、必要な情報が不足。補足を求めると、「現場判断でお願いします」。
ところが、後になって「図面と違う」と是正指示。責任はすべて現場に押しつけられる構図が、いまや常態化している。


■ 【筆者の見解】現場を知らずに設計を語る資格はあるのか?

私は、ただの職人ではありません。
大手ハウスメーカーのアパート部門、大手ゼネコンの特殊工事にも協力する立場として、さまざまな現場の実態を知っています。
その視点からはっきり言えるのは――

設計と現場がここまで分断されている今の住宅業界は、確実に壊れ始めているということです。

設計者が“商品企画の延長”のように設計を行い、現場を知らずに「工事を進めてください」と指示する。
そんなやり方では、安全性も品質も、信頼も守れない。

住宅は“売るもの”ではなく、“人が暮らすもの”です。
その意識が抜け落ちたままでは、いずれ取り返しのつかない事態が訪れます。


次回は、「この崩れた構造を誰が立て直すのか?」というテーマに切り込みます。
国や監督官庁が、“民間任せ”を続けたままで良いのか――今こそ問われています。



 

2025年3月7日金曜日

自宅の建築をハウスメーカーの前に建築士に相談している様子


ハウスメーカーの提案、鵜呑みにしてない?建築士の視点で確認すべきポイント


ハウスメーカーの提案、本当にそのままで大丈夫?

新築を考えていると、ハウスメーカーや工務店から魅力的な提案を受けることが多いです。しかし、その提案をそのまま受け入れてしまっていいのでしょうか?

「間取りやデザインは良さそうだけど、これがベストなのか分からない」
「営業担当者の話を聞いていると、なんとなく不安を感じる」
「他にもっと良い選択肢があるのでは?」

このような疑問を抱えながらも、そのまま契約してしまう方は少なくありません。しかし、家は一生に一度の大きな買い物。後から後悔しないためにも、セカンドオピニオンとして建築士に相談し、第三者の視点で提案内容を確認することが重要 です。

本記事では、ハウスメーカーの提案を受ける際に注意すべきポイントと、建築士の視点からチェックすべき点について詳しく解説 します。


1. ハウスメーカーの提案をそのまま信じるリスクとは?

1-1. 営業トークが優先されることがある

ハウスメーカーの営業担当者は、契約を取ることが仕事 です。そのため、住宅の性能やコスト面で不利になる部分は強調せず、都合の良い情報ばかりを伝えることがあります。

たとえば、

  • 「このプランが最適です!」→ 実は標準仕様ではない
  • 「今ならキャンペーン価格でお得!」→ 実は元の価格が割高
  • 「この間取りが一番人気です!」→ 実際には住みやすさを考慮していない

こうした営業トークに惑わされないためには、第三者の専門家の視点で提案を確認することが大切 です。

1-2. 住み心地を考慮していない間取りも多い

ハウスメーカーの間取りは、「見た目の良さ」や「施工のしやすさ」を優先して作られていることが多い です。しかし、実際に住んでみると、

  • 収納が足りない
  • 動線が悪く、家事がしにくい
  • 光や風の入り方が考慮されていない

といった問題が発生することがあります。建築士に相談することで、長期的な視点で住みやすい間取りになっているかを確認できます

1-3. 将来のメンテナンスコストが考慮されていない

家は建てたら終わりではなく、定期的なメンテナンスが必要 です。しかし、ハウスメーカーの提案では、

  • メンテナンスしにくい外壁材を使用
  • 将来的にリフォームしにくい構造になっている
  • 設備の交換費用が高くなる設計

といったケースも少なくありません。建築士の視点でチェックすれば、将来の維持費を抑えられる設計になっているかを判断できます


2. 建築士の視点で確認すべきポイント

2-1. 本当に最適な間取りか?

間取りは家の住みやすさを大きく左右します。特に、以下の点を建築士の視点でチェックすることが重要 です。

  • 家事動線がスムーズか?(キッチン・洗濯・収納の配置)
  • 収納スペースは十分か?(ウォークインクローゼット、パントリーの有無)
  • 将来のライフスタイルの変化に対応できるか?(子どもの成長や老後の生活)

ハウスメーカーの間取りをそのまま採用するのではなく、実際の暮らしをシミュレーションしながら考えることが大切 です。

2-2. 建材や設備の品質は適切か?

ハウスメーカーの標準仕様は、見た目は良いものの、耐久性やメンテナンス性が低い場合があります

  • 外壁材の種類(メンテナンス費用がかかるものではないか?)
  • 断熱材の性能(夏や冬の快適性に影響)
  • 床材や内装材の耐久性(安価なものだと傷つきやすい)

建築士に相談すれば、「将来的にコストパフォーマンスの良い建材を選ぶポイント」を教えてもらえます。

2-3. 適正価格かどうか?

ハウスメーカーの見積もりは、適正価格になっているかチェックすることが重要 です。

  • オプション料金が不当に高くないか?
  • 不要な設備が含まれていないか?
  • 長期的にコストがかかる仕様になっていないか?

建築士にセカンドオピニオンを依頼すれば、「この見積もりは妥当か?」を第三者の視点で判断してもらえます。


3. セカンドオピニオンを受ける方法と費用の目安

3-1. 建築士に相談するタイミング

セカンドオピニオンは、できるだけ早い段階で受けるのが理想 です。特に以下のタイミングで相談すると、最適なアドバイスがもらえます。

  • ハウスメーカーと契約する前(プランの比較検討が可能)
  • 間取りが確定する前(変更がしやすい)
  • 見積もりを出してもらった後(コストの妥当性を判断できる)

3-2. 建築士の相談費用の目安

セカンドオピニオンの費用は、内容によって異なりますが、一般的には以下のような相場です。

  • 1時間の相談:5,000円~10,000円
  • 間取りや見積もりのチェック:30,000円~50,000円

家づくりの失敗を防ぐためには、この費用を「将来の損失を防ぐための投資」と考えるのが賢明 です。


まとめ:後悔しない家づくりのために、第三者の視点を取り入れよう

本記事では、ハウスメーカーの提案を鵜呑みにせず、建築士の視点でチェックすべきポイント についてお伝えしました。

  • 営業トークに惑わされず、冷静に判断することが大切
  • 間取りや建材の選定は、将来の住みやすさを考えて決める
  • 建築士に相談することで、客観的なアドバイスを得られる

家づくりは一生の買い物。後悔しないためにも、第三者の意見を取り入れて、より良い選択をしていきましょう!


 

急上昇トレンド

現場を知らない建築士が増える時代に、伝えたいこと ― 大工の棟梁であり、1級建築士である私から ―

こんにちは。 私は、大工の棟梁として現場に立ち続けながら、同時に1級建築士として設計にも関わってきました。 一見すると正反対のように見える「手を動かす職人」と「机上で図面を描く建築士」。 そのどちらにも本気で向き合ってきたからこそ、伝えたいことがあります。 それは、 図面...