2025年4月7日月曜日

「リフォームしても意味がない?家の寿命を決める“見えない要因”とは」


 

リフォームしたばかりの家なのに、なぜかすぐ不具合が出てくる…。
壁にヒビ、床のきしみ、建具のズレ──これって施工ミス?
いいえ、実はもっと根本的な“原因”があるんです。

この記事では、
「なぜリフォームしても家が長持ちしないケースがあるのか」
について、専門的な視点から詳しく解説します。


■ 家の寿命は「建て方」で8割決まる

新築時、家は“見えない部分”からすでに寿命が決まり始めています。

たとえば──

  • 土台がしっかり水平に設置されていない

  • 柱の垂直精度が甘い

  • コンクリートの硬化や養生が不十分

こうした施工精度の差は、すぐには表に出ません。
しかし10年、20年と経つうちに、徐々に建物のゆがみや不具合となって現れます。

そしてこの“構造的なズレ”は、内装リフォームや設備更新だけでは修復できません。


■ 建物の立地条件=環境の影響も大きい

さらに見落とされがちなのが、**家の建っている場所(環境)**です。
次のような条件は、住宅の寿命に直接関わります。

▼ 日当たりが悪い

→ 湿気がこもり、木材や外壁が腐食しやすくなります。

▼ 川や池などの水辺が近い

→ 地盤が緩く、床下湿気やシロアリのリスクが高まります。

▼ 幹線道路や鉄道沿い

→ 振動が日常的に伝わり、構造体が微細なストレスを受け続けます。

▼ 高圧鉄塔や送電線が近い

→ 健康影響よりも“住みづらさ”や資産価値に影響するケースも。

つまり、同じ築30年でも「劣化スピード」が全く違うのです。


■ 築年数では判断できない“本当の状態”

よく「築年数が浅いから大丈夫」と言われますが、それはあくまで目安。
たとえば、築15年の家でも施工が粗い・湿気の多い土地にある──となれば、劣化は深刻です。

逆に、築35年でもしっかり建てられた家は、今も安定して住めることがあります。
家の状態は、「築何年」よりも「どんな建て方」「どんな環境」で“生きてきたか”で決まるのです。


■ リフォームの前に“総合診断”を

本当に意味のあるリフォームをするには、
まず家の履歴と現在の状態を総合的に診る必要があります。

  • 新築時の施工状況

  • 現在の地盤・湿気・振動の影響

  • 構造のゆがみや荷重バランス

  • 過去の修繕・補修履歴

こういった“家の履歴”を踏まえたうえで、「何を」「どこまで」直すのかを決めることが重要です。


■ まとめ|見た目では判断できない“家の真実”

リフォームは決して無駄ではありません。
ただし、「なんとなく心配だからリフォーム」という発想では、根本的な改善にならないことがあります。

家の寿命は、建て方と環境で決まる。
本当に大切なのは、“その家がどう生まれ、どう生きてきたか”を知ること。

まずは、住まいの“健康状態”を知ることから始めませんか?

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