「原状回復はするけれど、家賃は据え置きか値下げするばかり……」
そんなお悩みを抱えていませんか?退去後の原状回復は、賃貸経営にとって避けられないコストですが、「お金がかかるだけの作業」で終わってしまうことも多くあります。
しかし近年では、原状回復のタイミングで「ちょっとしたデザイン」を加えることで、家賃アップや早期成約に成功している賃貸オーナーが増えています。
本記事では、「原状回復+αの工夫」によって家賃アップや入居スピードの改善に成功した実例を中心に、費用対効果の高い賃貸リノベーションの考え方と実践方法を丁寧に解説します。
「リフォーム=大規模・高額」というイメージを変え、**誰でも実践できる“攻めの原状回復”**のヒントをお届けします。
なぜ原状回復だけでは「物足りない」のか?
原状回復とは、基本的に「以前の状態に戻すこと」です。しかし、築年数が進んだ物件においては、「元の状態」に戻しても、現代の入居者ニーズには合わない場合があります。
たとえば、20年前に主流だった白一色のクロスやベージュの床材は、現在の若年層には「古くさい」「ありきたり」と受け取られてしまうことがあります。
つまり、今の時代に合った“選ばれる部屋”をつくるためには、原状回復+デザイン要素の追加が重要なのです。
特に、退去後は「何もない状態」から始まるため、少しの手間で部屋全体の印象を大きく変えることが可能です。
ここからは、実際に原状回復と同時にデザインリノベーションを行い、家賃アップに成功した事例を紹介していきます。
実例①:アクセントクロス+照明変更で+3000円(築28年 1K)
東京都内にある築28年の1Kマンション。学生向け物件として運用していたが、退去後の原状回復をきっかけに、「他と差別化したい」という目的で一工夫を加えることに。
変更した点は以下の通り:
- ベッド側の壁にグレー系のアクセントクロスを採用
- シーリングライトをライティングレール+電球型LEDに変更
- 窓まわりのカーテンレールを黒で統一
これらの変更にかかった費用は約9万円。
結果:
- 家賃:従来より月額3000円アップ
- 募集開始から1週間で申込
- 写真映えも良く、ポータルサイトの反応が倍増
【ポイント】
「原状回復+α」の考え方で、“印象の上書き”に成功。費用対効果が高く、収益性の向上につながりました。
実例②:床材と建具の色を統一し+5000円(築30年 2DK)
大阪市内にある築30年のファミリー向け2DK。長年使用されたフローリングと、黄ばみがかった建具の古さが目立っていました。
退去後の原状回復でフローリング張り替えを予定していたため、あわせて以下のようにアレンジ:
- 床をナチュラルオーク色のフロアタイルに変更
- 建具(ドア・収納)に同系色のシートを貼り、色味を統一
- 玄関の土間部分に石目調のクッションフロアを採用
総費用:約25万円(原状回復含む)
結果:
- 家賃:月額5000円アップ
- 募集から2週間で申込
- 家族連れから「清潔で落ち着く印象」と高評価
【ポイント】
設備そのものを交換せずに“統一感”を出すことで、部屋の印象を刷新。家賃アップだけでなく長期入居にもつながる期待値が高まる内容となりました。
実例③:キッチン+壁面クロスの工夫で即入居(築33年 1LDK)
横浜市内の築33年、駅徒歩10分の1LDK。キッチンの経年劣化が進んでいたものの、取り替えるにはコストがかかるため、原状回復を活かしつつ「見た目改善」にフォーカス。
具体的な変更点:
- キッチン扉に木目調のカッティングシートを貼付
- 壁面に白タイル風のクロスを採用
- コンロ周りのステンレス面を丁寧に研磨・再コーティング
総費用:約12万円
結果:
- 家賃:変わらず(+0円)だが競合より高めの設定で申込獲得
- 掲載1週間以内に反響8件 → 即入居
【ポイント】
原状回復だけでは古さが残る箇所に「見せ方」の工夫を施したことで、他物件との差別化が可能に。写真映えが成約の後押しとなりました。
実例④:玄関と水回りの印象アップで家賃+2000円(築31年 2DK)
名古屋市内の築31年の2DK物件。原状回復のタイミングで、「古く見えがちな水まわりと玄関の印象を良くしたい」との思いから以下の工夫を実施。
- 洗面台の鏡周りに木枠を追加し、ホテルライクに演出
- 玄関にフロアマット+照明を追加し、エントランスの印象を刷新
- トイレには植物柄のクロスを一面に使用し、清潔感を演出
総費用:約10万円
結果:
- 家賃:+2000円
- 募集期間:約2週間で成約
- 内見時の第一印象が大幅に改善
【ポイント】
人が部屋に入ったときに最初に感じる「入口と水まわり」に集中して投資。実際に内見時の離脱率が減り、スムーズな成約につながりました。
なぜ「原状回復+デザイン」が効果的なのか?
実例からも分かる通り、原状回復のタイミングは**“部屋の印象を大きく変えるチャンス”**です。
理由は3つあります:
-
作業の手間が一度で済む
→ 原状回復と同時に手を加えることで、施工コストも時間も圧縮できます。 -
退去後なのでアレンジが自由にできる
→ 入居中にはできない変更や工夫がしやすく、デザインを大胆に取り入れられます。 -
写真が映える内装に仕上げやすい
→ 新規募集時に、内見前の反響を増やす“武器”として機能します。
特に、若年層向け・単身者向けの物件では「写真映え」と「ちょっとした個性」が重視される傾向にあります。
デザインを加える際の注意点とは?
ただし、原状回復にデザイン性を加える際には、いくつかの注意点もあります。
-
万人受けしすぎないように工夫する
→ 個性的すぎる色使いや装飾は、入居者の好みを大きく左右するリスクがあります。 -
設備の機能性は確保する
→ デザイン重視で使いづらい空間にならないよう、実用性も大切です。 -
掃除・手入れのしやすさを意識する
→ 凹凸が多い壁材や床材は汚れがたまりやすく、敬遠される可能性があります。 -
修繕や原状復帰のしやすさを意識
→ 将来の退去時にも手直ししやすい工法・素材を選ぶと安心です。
まとめ
「原状回復はコストでしかない」と考えていた方にとって、
**原状回復+デザイン=“収益改善のチャンス”**になることが、お分かりいただけたのではないでしょうか。
今回は、実際に家賃アップや早期成約につながった事例をもとに、効果的な賃貸リノベーションの方法をお伝えしました。
小さな工夫で、築年数や古さのハンデを乗り越えることは十分に可能です。次の原状回復のタイミングには、ぜひ“デザインのひと手間”を加えてみてください。
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