築40年の家でもホテルライクはつくれる!好きな色ひとつから始める上質空間のデザイン術
「築40年の実家をリフォームしたい。でも、どうせなら高級ホテルのような部屋にしてみたい」
そんなことを考えたことはありませんか?
落ち着いた照明、上品な壁、統一感のある家具。ホテルの客室に入った瞬間に感じる、あの特別な雰囲気。
でも、いざ自分の家で実現しようとすると、何から始めればよいのか分からないものです。
おしゃれな壁紙を探してみたり、SNSで気に入った部屋の写真を保存してみたり。素敵なデザインはいくらでも見つかるのに、実際に自分の家へ取り入れようとすると、なぜかまとまらない。
そんなときは、難しく考える必要はありません。
まず、自分の好きな色を一つだけ決めてみてください。
実は、そこからホテルライクな空間づくりを始めることができます。
まずは好きな色を一つ決める。それだけでデザインの方向が見えてくる
例えば、ベージュが好きな方を想像してみましょう。
床には、落ち着いた濃いベージュの木目調フローリング。
壁には、柔らかな明るいベージュ。
天井には、少し白に近い淡いベージュ。
そして、テレビの背面だけに、ベージュ系の石目模様を取り入れてみます。
どうでしょうか。
特別に派手な色を使っているわけではありません。それでも、床から壁、天井へと色が自然につながり、まとまりのある空間を想像できるのではないでしょうか。
これが、初めての方にも取り組みやすい配色の基本です。
好きな色を一つ決め、その色の濃淡で床・壁・天井をまとめる。
あれもこれもと色を増やさないことで、空間に統一感が生まれます。
ホテルライクに見せるポイントは「単色の中に模様を入れる」こと
ここでもう一つ、簡単に取り入れられるデザインの方法があります。
それは、アクセントになる場所に、同系色の模様入り素材を使うことです。
例えば、壁も床もベージュ系でまとめたリビング。
そのままでも落ち着いた部屋になりますが、テレビの背面だけを、少し濃いベージュの大理石調クロスに変えてみます。
すると、色の統一感はそのままに、模様による変化が生まれます。
ポイントは、模様の色を何色も使わないこと。
石目模様なら、同じベージュ系の濃淡で構成されたもの。
木目模様なら、近い色味で木目の表情を楽しめるもの。
織物調なら、単色に近い色合いの中に細かな質感が見えるもの。
こうした素材を選ぶことで、落ち着きを保ちながら、単調ではない空間をつくりやすくなります。
しかも、部屋全体に高価な材料を使用する必要はありません。
人の視線が集まる壁一面だけに特徴のある素材を採用する方法でも、印象を変えることができます。
好きな色がグレーなら、こんな部屋になる
今度は、グレーが好きな方の場合を考えてみましょう。
床には、少し濃いグレーの木目調フローリング。
壁には、明るいライトグレー。
天井には、白に近いグレー。
テレビの背面には、落ち着いたグレーの石目調パネル。
ソファはチャコールグレー、カーテンは壁に近い淡いグレーでまとめます。
そして照明には、柔らかな暖色系の光を取り入れてみます。
すると、無機質になりすぎず、落ち着いた都会的なホテルを思わせる空間に近づきます。
ここで大切なのは、グレーという色を使ったことではありません。
濃い色と淡い色を組み合わせ、素材の表情を変えながら全体をまとめていることです。
同じ考え方は、ブラウンやネイビー、グリーンなど、ほかの色でも応用できます。
ただし、濃い色は使用面積が大きくなると部屋を暗く感じさせることがあります。特に面積の大きい壁や天井では、明るさとのバランスを考えて選ぶことが大切です。
築40年の家なら、まずリビングの一角から考えてみる
では、実際に築40年の家をホテルライクに変える場合、どこから始めるとよいのでしょうか。
最初から家全体のデザインを決めようとすると、かえって難しくなります。
そこで、まずはリビングの一角を想像してみてください。
例えば、現在のリビングには昔ながらの木目の建具があり、壁は白いクロス、床には長年使用したフローリングがあるとします。
この部屋をホテルライクに変えるなら、まずテレビを置く壁を中心に考えます。
壁には、好きな色を基調とした石目調や織物調のクロス。
その両側や上部には、柔らかな光を当てる照明。
テレビ台は壁の色に合わせ、できるだけシンプルな形にする。
床材も同系色でそろえれば、部屋全体にまとまりが生まれます。
既存の間取りを大きく変更しなくても、内装と照明、家具の配置を工夫することで、空間の印象を変えることはできます。
もちろん、壁や床の状態によっては下地の補修が必要になる場合もありますが、ホテルライクを目指すからといって、必ずしも大規模な間取り変更から始める必要はないのです。
照明を変えると、同じ色でも印象が変わる
ホテルライクな空間をつくるなら、照明も重要です。
例えば、ベージュ系でまとめたリビング。
天井の中央に明るい照明を一つ設けるだけでも、日常生活には十分な場合があります。
しかし、テレビ背面の壁を間接照明で柔らかく照らすと、石目模様に陰影が生まれ、壁そのものがインテリアの一部になります。
ソファの横にスタンドライトを置けば、夜のくつろぎ方も変わります。
ダイニングにはペンダントライトを設け、食卓を中心に光を集める方法もあります。
ここで注意したいのは、単に照明を暗くすればホテルライクになるわけではないということです。
食事や読書、調理、掃除など、生活に必要な明るさは確保しなければなりません。
普段の生活では十分な明るさを確保し、くつろぐ時間には照明を切り替える。
そのように計画すれば、暮らしやすさと雰囲気を両立できます。
古い建具や天井も、デザインの一部として考える
築40年の住宅には、昔ながらの建具や柱、梁などが残っていることがあります。
これらをすべて新しいものに交換しなければ、ホテルライクにならないのでしょうか。
必ずしもそうではありません。
例えば、既存の木製建具を塗装や面材の変更によって周囲の壁と調和させる方法があります。
柱や梁についても、状態や仕上げを確認したうえで、既存の木の表情を生かすことができます。
逆に、デザインを統一するために、建具だけを新しいものに交換する方法もあります。
大切なのは、既存のものを残すか交換するかではなく、完成した空間の中でどのように見せるかです。
ただし、壁の撤去や柱・梁の変更を伴う場合は、構造上の検討が必要です。
内装の印象を変える工事と、建物の構造に関わる工事は分けて考える必要があります。
高級な材料を使えばホテルライクになるわけではない
ここは、ぜひ知っておいていただきたいところです。
高価な大理石、輸入タイル、高級家具。
こうした材料や商品を使えば、必ずホテルのような空間になるとは限りません。
例えば、床は明るい木目、壁は濃いグレー、キッチンは赤みの強いブラウン、建具は別の木目、そこに柄の大きなカーテンを合わせたとします。
一つひとつの商品は魅力的でも、色や素材の方向性がそろっていなければ、全体としてまとまりに欠けることがあります。
反対に、一般的な価格帯のクロスや床材でも、色や模様の選び方が統一されていれば、落ち着いた上質な空間をつくることは可能です。
だからこそ、材料を選ぶ前に、好きな色を一つ決めることが重要なのです。
その色の濃淡で全体を構成し、アクセントとして模様入りの素材を採用する。
この順序なら、商品選びで迷ったときにも判断しやすくなります。
築40年の家を本当に快適にするなら、見えない部分も大切
ここまでは、誰でもイメージしやすいデザインの方法を紹介してきました。
しかし、古い住宅のリノベーションでは、見た目だけでなく建物の性能も考える必要があります。
例えば、冬になると窓際が寒い住宅では、内装の変更と合わせて窓の断熱改修を検討できます。
夏の日射で室内が暑くなる場合は、窓の性能や日除けを見直す方法もあります。
また、エアコンを目立たせたくない場合でも、空調に必要な吸込・吹出空間や点検スペースを確保しなければなりません。
築40年という年数だけで建物の状態は決まりませんが、改修前には構造や劣化状況、設備の状態を確認することが大切です。
ただし、これらの検討はホテルライクなデザインを諦める理由ではありません。
希望するデザインと必要な建築性能を、どのように両立させるか。
そこに、建築設計の役割があります。
最初にすることは、壁紙を買うことではありません
もし、これから築40年の家をホテルライクに変えたいと考えているなら、まず次のことを試してみてください。
好きな色を一つ決める。
その色の濃いもの、普通のもの、淡いものを並べてみる。
床にはどの濃さがよいか。
壁にはどの濃さがよいか。
天井はどのくらい明るくするか。
そして、部屋の中で一番見せたい壁には、同系色の石目模様や木目模様を取り入れてみる。
最後に、夜はどこを照らしたいかを想像してみてください。
たったこれだけでも、完成後の部屋のイメージが少しずつ具体的になってくるはずです。
さらに、実際の材料サンプルを部屋に置き、昼間の自然光と夜の照明の両方で確認すれば、色の見え方の違いも判断しやすくなります。
まとめ|築40年の家でも、好きな色から理想の空間をつくれる
ホテルライクな住宅は、新築でなければ実現できないものではありません。
また、高価な材料を大量に使用しなければならないものでもありません。
まずは、自分の好きな色を一つ決める。
その濃淡を使って床・壁・天井をまとめる。
そして、空間のポイントとなる場所に、同系色の模様入り素材を取り入れる。
そこへ照明や家具、収納などを組み合わせることで、空間に統一感と落ち着きを生み出すことができます。
もちろん、既存住宅の改修では、建物の構造や設備、劣化状況など、確認すべきこともあります。
しかし、それはデザインを諦める理由ではありません。
「古い家だからできない」ではなく、「今ある家を、どんな空間に変えたいか」から考えてみる。
築40年の住宅であっても、好きな色一つをきっかけに、これまでとはまったく違う暮らしの空間を思い描くことができます。
そして、そのイメージを建物の条件に合わせて具体的な形にしていくことが、リノベーションの大きな魅力なのです。
大工のおっちゃん工房 一級建築士
中古住宅のリノベーションや間取り変更、住宅デザインについてのご相談は、公式ホームページをご覧ください。

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