2025年4月26日土曜日

設計の高度化と現場の限界──いま求められる「応用力ある現場責任者」と「施工セカンドオピニオン」という考え方




住宅設計は、かつてないほど自由になり、美しく、複雑さを増しています。
設計者たちは、施主の理想を叶えるため、時に大胆な挑戦を重ね、細部にまでこだわった意匠を生み出します。
──それ自体は、建築という文化を進化させる素晴らしい流れだと思います。

ですが、私は、現場に立つ者として、日々痛感しています。

「現場は、その高度な設計に本当に応えられているのか?」

私は、大工であり、一級建築士でもあります。
設計の難しさも、現場施工の厳しさも、両方を知っている立場です。
その両面から見て、いま住宅建築の現場には、静かではありますが確実に進行している“危機”があるのです。

設計と現場──このふたつの歯車が、微妙に噛み合わなくなり始めている
これが、いま私が最も強く感じている問題です。


■ 問題提起(現状の課題)

設計の理想は高く、美しく、挑戦的です。
しかし、それを実際に形にする現場側には、かつて当たり前だった「応用力」が不足しつつあります。

  • 経験の浅い現場監督の増加

  • 応用力を持った職人の減少

  • 設計者と施工者の意識の乖離

こうした現象は、全国的に広がりつつあります。
設計が複雑になればなるほど、現場の負担は大きくなり、応用力がなければ対応できない場面が増えているのです。

その結果、

  • 「図面にないからできません」

  • 「現場で判断できないので設計に戻します」
    というケースが日常的に発生し、工程は遅れ、コストも上昇。

現場力の低下は、施主にとっても大きな不利益をもたらす時代に突入しているのです。


■ 具体例(現場でのリアル)

例えば、ある現場。
リビング天井を極限まで薄く見せるための超薄型下がり天井が設計されていました。
図面には、意匠的な断面図だけが添付されているだけで、具体的な施工手順は何も書かれていない。
現場の若手監督と大工たちは顔を見合わせ、言葉を失っていました。

「これ、どう納めればいいんだ?」

強度確保と美観を両立させるには、現場で即座に工夫するしかない。
しかし、それを判断できる現場責任者も、応用できる大工も、いなかったのです。

また別の現場では、壁に溶け込むように設計された「隠し扉」。
設計者の意図は理解できても、具体的な取り付け方はどこにも書かれていない。
現場監督は決断できず、結果的に仕上がった扉は「単なる薄い扉」に成り下がってしまいました。

──現場では、今、こうした悲しいすれ違いが日常化しています。


■ 原因分析

なぜ、こんなことになってしまったのか?

原因は単純ではありません。
それは、いくつもの小さなほころびが積み重なった結果です。

まず、設計と現場の分断
設計者が現場に足を運び、施工性を確認する文化が薄れつつあります。
逆に、現場も設計意図を深く読み取る努力を怠りがちになっている。

次に、現場教育の衰退
かつては棟梁が若手を現場で鍛え上げ、知恵と応用力を叩き込んだ。
しかし、いまは効率化の波に押され、育成に十分な時間をかけられない現場が増えている。

さらに、働き方の変化も影響しています。
現場は昔に比べてドライになり、手間をかけて育てる文化そのものが希薄になりつつあるのです。

こうして、設計と現場の間に横たわる「施工の現実」という断層は、ますます深まっています。


■ 提言(未来に向けて)

では、どうすればいいのか。

まず第一に、
応用力ある現場責任者の育成が不可欠です。

設計図を単に読むだけではなく、設計意図を理解し、現場で最適解を導き出す力を持った現場監督、大工、職人。
彼らの存在なくして、いまの高度な設計は現実になりません。

そして、もう一つの提案──

それが、「施工セカンドオピニオン」という新しい仕組みです。

つまり、設計者と現場監督のどちらにも偏らない第三者として、

  • 設計内容を施工可能な形に調整する

  • 現場に無理を強いる前に、実現可能性を冷静に判断する
    専門の立場の者を配置する、という考え方です。

これは単なる監査ではありません。
あくまで、施工品質を高めるための第三者的なアドバイザー

たとえば医療の世界に「セカンドオピニオン」があるように、
建築にも、冷静な第三者による「現場診断」「施工指導」が必要だと思うのです。

この仕組みが機能すれば、

  • 設計の理想と現場の現実のギャップを埋め

  • 無理な施工を防ぎ

  • 結果として、施主により良い品質を提供できる

これが、私たち建築業界が目指すべき新しい一歩ではないでしょうか。


■ まとめ

家づくりは、設計だけでも、現場だけでも成り立ちません。
設計の理想と現場の現実を、確かに繋ぐ「人」の力があってこそ、初めて本当に良い家が生まれる。

これからの住宅建築には、

  • 設計意図を読み解き、現場で応用できる力

  • 現場のリアルを理解し、設計にフィードバックできる力

  • そして、第三者的視点で全体を俯瞰する施工セカンドオピニオン

この3つが欠かせないと、私は確信しています。

理想と現実の隙間に橋をかける。
その仕事に、私たちはもっと誇りを持たなければならない。



大工棟梁として、そして一級建築士として、
現場を知り、設計を知り、建築の未来を本気で考える一人として──

私は、これからも「設計と現場をつなぐ力」を磨き続けたいと思っています。

──大工のおっちゃん工房 代表


 

ホテルライクな間取りと北欧ミニマル住宅|2025年最新住宅トレンド4選を総合建築アドバイザーが解説




家づくりやリノベーションを考えるとき、
「今どきの間取りってどうなっているんだろう?」
と気になる方も多いのではないでしょうか。

2025年現在、住宅トレンドは大きく変化しています。
単に広く豪華な家を求めるのではなく、
機能性と上質さを兼ね備えた「暮らしやすい空間」が求められる時代になりました。

この記事では、これまで数多くの住宅設計・施工に携わってきた
総合建築アドバイザーの視点から、
2025年版・最新住宅トレンド間取り4選を詳しく解説します。

テーマは、
「ホテルライクな上質空間」「北欧ミニマルな機能美」

この記事を読めば、
✅ いま人気の住宅間取りトレンド
✅ ホテルライクな家を作るためのポイント
✅ ミニマル北欧スタイルの取り入れ方
がわかります。

ぜひ家づくりや間取りプランニングの参考にしてください!



暮らしをアシストする未来型動線「スマート動線型間取り」

家事も生活もスムーズに完結する間取り

「動線設計」は、近年ますます注目を集める住宅トレンドのひとつです。
スマート動線型間取りでは、
家事・生活・育児を最小限の移動でこなせるように設計します。

たとえば、

  • 玄関からキッチンへ直通する動線

  • 洗濯室→干場→クローゼットを一直線でつなぐ家事動線

  • トイレや洗面所を寝室とLDKの中間に配置する生活動線

などが挙げられます。

これに加えて、
ドアの自動施錠、エアコンのスマートコントロールなど、
IoT家電との連動も今後ますます普及していくでしょう。

ホテルライクな「隠す収納」で上質な暮らしに

動線を整理するだけでなく、
生活感を出さない工夫も重要です。

例えば、

  • 大型カップボードでキッチン家電を隠す

  • 廊下や水回りにリネン収納を造作する

  • 配線を壁内に埋め込む施工を採用する

など、ホテルライクな「隠す収納設計」がポイントになります。

すっきりした空間は、毎日の暮らしに上質なリズムをもたらします。

北欧ミニマルなインテリアで温もりを演出

さらに、北欧ミニマルスタイルを取り入れることで、
機能的でありながら柔らかく心地よい空間を演出できます。

白やグレーを基調に、
オーク材やバーチ材といった自然素材をアクセントに使用。
シンプルだけど豊かさを感じるインテリアに仕上がります。


家事効率を極める!美しく完結するランドリールーム

3畳のランドリールームが家事ストレスを劇的に軽減

いま注目を集めているのが、
約3畳サイズのランドリールームを中心にした間取り設計です。

洗濯機・乾燥機・作業台・収納スペースを一カ所に集約。
洗濯物を運ぶ手間を最小限に抑え、
「洗う・干す・畳む・しまう」までをスムーズに完了できる動線が作れます。

共働き世帯や子育て世代に特に人気の高いプランです。

見せない収納で美しい水回り空間に

ランドリールームはどうしても生活感が出やすいため、
見せない収納が重要です。

タオルや洗剤、掃除用具などをすべて収納できる
壁面収納や大型クローゼットを計画し、
使わないときは扉で隠す工夫を取り入れましょう。

北欧ナチュラルな素材感で癒しを

冷たくなりがちな水回り空間には、
木目調の造作家具やナチュラルカラーの床材を採用。
北欧らしい、やさしい空気感を加えることで、
家事スペースがストレスフリーな癒し空間へと変わります。


働く空間も美しく。「半個室ワークスペース」革命

家の中にちょうどいいワークスペースを

リモートワークの普及により、
ワークスペースの重要性が高まっています。

おすすめは、リビングの一角に設ける半個室タイプのワークスペース
壁で完全に閉じず、開放感を残しつつ、集中できる環境をつくる工夫が求められます。

ガラスや間接照明でホテルライクな演出

ホテルライクなワークスペースを作るなら、
ガラスパーテーションや間接照明を活用するのが効果的です。

オフィスのように堅苦しくならず、
ラグジュアリーな非日常感を演出できます。

北欧ミニマルで落ち着く仕事空間に

デスクまわりのデザインには、
木目のあるシンプルな家具を選び、
カラーリングもナチュラルトーンで統一するとよいでしょう。

「仕事場」でありながら「家族とつながる空間」として、
無理なく暮らしに溶け込む設計が理想です。


趣味も収納もスマートに。2WAY玄関の新常識

2WAY玄関で使いやすさと美しさを両立

2WAY動線を取り入れた玄関設計が、
今後ますます主流になっていくと考えられます。

  • 家族専用の土間収納を裏動線側に

  • 来客用玄関をスッキリ見せる正面動線に

と分けることで、
生活感を隠しつつ、ゲストを心地よく迎えることができます。

高級感のあるエントランスデザイン

玄関には、重厚感のあるタイルフロアや間接照明を施し、
ホテルのエントランスのような上質な空間を演出しましょう。

自然素材であたたかみを添える

無機質になりすぎないよう、
ナチュラルウッドや観葉植物を取り入れると、
北欧風のやさしいエントランスに仕上がります。


【まとめ】

2025年の住宅トレンドは、
「機能性」と「心地よさ」の両立がカギになります。

ホテルライクな美しさ、北欧ミニマルな機能美を組み合わせることで、
毎日の暮らしが、もっと楽しく、もっと快適なものへと変わります。

家づくりを検討している方も、
リノベーションを考えている方も、
ぜひ今回ご紹介した間取りトレンドを参考に、
「未来志向の住まいづくり」にチャレンジしてみてください。

── 総合建築アドバイザーより


 

「ランドリールームに必要な広さは?3畳は確保すべき理由と間取りのコツ」




ランドリールーム――
最近、家づくりやリノベーションを考える方たちの間で、急速に注目度が高まっています。

洗濯機を置くだけのスペースではありません。
洗う・干す・乾かす・畳む・しまう。
この一連の家事動線を、できるだけ短く・ラクにするための空間。

では、そんなランドリールームを本当に快適に使うためには、どれくらいの広さが必要なのでしょうか?

結論から言えば、最低でも3畳(1,800mm×2,700mm)は確保したいところです。

この記事では、ランドリールームに必要な広さと、その理由について詳しく解説していきます。


■ ランドリールームが注目される理由

まず、なぜ今、ランドリールームがこれほど注目されているのでしょうか。

  • 共働き世帯の増加による家事効率化ニーズ

  • 天候に左右されない室内干し需要

  • ガス乾燥機「乾太くん」の普及による洗濯作業の時短

  • 高気密・高断熱住宅の普及で、室内干しスペースが快適になった

こうした背景があり、単なる洗濯機置き場ではなく、
洗濯にまつわるすべてを完結できる専用空間が求められるようになったのです。


■ 必要な設備と寸法

ランドリールームに設置したい代表的な設備と、その寸法を整理してみましょう。

  • 洗濯機:幅600mm×奥行600mm

  • たたみカウンター:奥行450mm、幅900〜1,200mm

  • 乾太くん(ガス乾燥機):幅600mm×奥行600mm(設置高さ1,500〜1,600mm)

  • 天井吊り物干し金物(ホスクリーンなど):幅1,200mm程度

これらを無理なく設置し、さらに人が楽に作業できる通路幅(700mm以上)を確保しようとすると、
最低でも1,800mm×2,700mm(約3畳)の空間が必要になります。


■ 1畳・2畳・3畳でどう違う?(文章で比較)

広さによる違いを実感しやすいように、文章で比較してみます。

◆1畳(900mm×1,800mm)では、洗濯機と乾燥機を並べて置くことはできますが、
通路スペースがほとんどなく、作業は非常に窮屈になります。

◆2畳(1,800mm×1,800mm)だと、洗濯・乾燥・簡単な室内干しは可能になりますが、
畳むスペースを確保するのは難しく、動線もややごちゃつきやすいです。

◆3畳(1,800mm×2,700mm)あれば、
洗濯、乾燥、干す、畳む、しまう、すべての作業を無理なくランドリールーム内だけで完結できるため、
家事効率が飛躍的に向上します。


■ 立体配置がカギ!洗濯機→カウンター→乾太くんの三層構造

ランドリールーム設計の最大のポイントは、
平面的な配置だけでなく立体的に考えることです。

たとえば、

  • 床に洗濯機(幅600mm×奥行600mm)

  • 洗濯機の上にたたみカウンター(高さ約900mm)

  • その上に乾太くん(設置高さ1,500〜1,600mm)

このように「積み上げる」ことで、
限られた面積でも、洗濯・乾燥・畳む作業が驚くほどスムーズになります。

また、乾燥機を使わないときには、天井吊りの物干し金物を活用して、
室内干しにも対応できるようにしておくとより便利です。


■ 間取りのコツ:ランドリールームは脱衣室直結が理想

ランドリールームをさらに使いやすくする間取りの工夫も押さえておきましょう。

ポイントは、
脱衣室・洗面室からランドリールームへ直結させること

たとえば、

  • 脱衣→洗濯→乾燥→畳む→収納

この一連の流れがワンフロア内で完結できるように設計すれば、
毎日の家事負担は劇的に軽減されます。

また、収納(ファミリークローゼット)を併設するのも非常に効果的です。


■ まとめ

ランドリールームを快適に使いたいなら、
必要な広さは最低でも3畳(1,800mm×2,700mm)

  • 洗濯機+たたみカウンター+乾太くん

  • 天井吊り物干し金物

  • 700mm以上の通路スペース

これらをきちんと確保して、立体的な動線を意識した設計をすることで、
「洗濯」という家事が驚くほどスムーズになります。

これから家づくりやリノベーションを考えている方は、
ぜひランドリールーム設計にちょっとした贅沢を取り入れてみてください。

日々の暮らしに、小さな余裕と、大きな満足感をもたらしてくれるはずです。


 

2025年4月25日金曜日

【中古住宅×ホテルライク】 「こんな家に住みたい!」を叶えた成功事例5選



■ はじめに

「新築はちょっと現実的じゃない…でも、せっかく家を持つならオシャレに住みたい。」
そんな声がここ数年、じわじわと増えています。

中古住宅の購入+リノベーションという選択肢は、もはや“妥協”ではなく、“理想を叶える近道”。
なかでも注目を集めているのが、「ホテルライク」な空間づくりです。

ホテルのような落ち着き、シンプルで洗練されたデザイン、生活感を抑えた非日常感。
そんな空間を手に入れた施主たちは、どんな家をどんなふうに変えたのか?

今回は、実際の中古住宅リノベでホテルライクな暮らしを実現した5つの事例をご紹介します。


■ 成功事例①:築30年の団地が、シンプルモダンな“スイートルーム”に大変身

大阪府堺市の静かな住宅地にある、築30年の団地。
購入したのは30代のご夫婦。「新築マンションは高すぎて、間取りも画一的。だったら中古を買って、自分たちらしい空間を作ろう」との思いでこの団地を選びました。

内装は昔ながらの2LDKで、リビングとダイニングが細かく区切られたつくり。第一印象は「ちょっと暗い…」だったそうです。

それが、リノベ後にはまるでスイートルームのような空間に。
オークの無垢フローリングに、グレーの珪藻土壁。ライン照明と間接照明で、空間に立体感と奥行きが加わりました。
スモークガラスの仕切りでプライバシーと抜け感を両立させた玄関アプローチは、まさに“ホテルのエントランス”のよう。

約450万円の工事で、毎日がちょっと特別になる暮らしを実現。
SNSでも話題となり、友人たちからの「見せて!」の声が絶えないそうです。


■ 成功事例②:昭和の和風住宅が、南国リゾートのような“癒しの家”に

兵庫県姫路市。
市街地から少し離れた丘の上に、築30年以上が経過した和風住宅がありました。

購入したのは旅好きな40代ご夫婦。
「バリや沖縄のリゾートが好きで、自宅でもあの空気感を再現したかった」と語ります。

テーマは「バリの高級ヴィラ」。
リビングは間仕切りを撤去し、天井を吹き抜けに。
ウォールナットの床とラタンの家具、ストーン調のアクセントウォールで空間に重厚感と開放感を両立。
間接照明のやわらかい光が、夜には静かなラウンジのような雰囲気を演出します。

主寝室にはベッドヘッドを造作し、読書灯とアロマの香りが非日常を演出。
約700万円の工事で、旅するように暮らせる理想の住まいが完成しました。


■ 成功事例③:築40年の木造戸建が、無骨で洗練された“インダストリアル空間”に

東京都三鷹市の住宅街。
築40年の木造2階建てに出会ったのは、デザイン系の仕事をしている30代カップル。

「多少古くても、自分たちらしく作り替えられることのほうが魅力的」と、最初から“リノベ前提”で購入を決めました。

テーマは「ニューヨークのブティックホテルのようなインダストリアル」。
古材の梁をあえて見せ、壁はモルタル調に。
ガラスパーティションで仕切った水回りには、造作の洗面台と黒フレームのミラー照明が。
キッチン背面にはオープン棚を設け、カフェのような空間に仕上げました。

約850万円かかったものの、「家にいる時間が、一番クリエイティブになれる時間になった」とご主人。
休日は友人たちを招いて、ホームバーのように楽しんでいるそうです。


■ 成功事例④:築25年の狭小住宅が、光と陰を操る“都会の隠れ家”に

京都市中京区、路地裏にひっそりと建つ築25年の狭小住宅。
購入したのは、単身の建築好きな女性でした。

「広さはないけれど、丁寧に暮らせる場所が欲しかった」と、都心部で手に入れた18坪の家。
テーマは“光と陰が主役になる家”。

照明計画にとことんこだわり、間接照明や足元灯、ニッチ照明を巧みに配置。
日中は柔らかな自然光、夜は控えめな光が空間を包み込み、訪れた人が思わず「ここ、旅館みたい」と言うほど。

浴室はフルオープンの設計で、ホテルライクなタイル貼り+ガラスパネルの仕上げ。
生活感を見せない収納計画にも配慮されており、“整った暮らし”が可能に。

約600万円のリノベで、自分だけのとっておきの空間が完成しました。


■ 成功事例⑤:築35年の二世帯住宅が、“ゲストをもてなすレジデンス”に

福岡市中央区の郊外にあった、築35年の二世帯住宅。
そこに住むことになったのは、3世代同居を考えた家族。

もともとは和室の多い古い間取りでしたが、家族の希望は「ゲストを招ける家」でした。
テーマは“ホテルのように整った住まい”。

親世帯は和モダンに、子世帯はモダンホテル風にデザインを分け、
共用スペースには来客用のゲストルーム+専用洗面台を設けるなど、“もてなしの心”がちりばめられた設計に。

照明・床材・カーテンに至るまでプロがコーディネートし、生活感は極力見せない収納計画も徹底。

総額1,200万円のリノベーションで、家族それぞれが心地よく、誰かを招きたくなるような住まいになりました。


■ まとめ:中古住宅でも「上質な暮らし」は叶う

「中古=妥協」ではなく、「中古+リノベ=理想」へ。

今回紹介したように、明確なコンセプトと丁寧な設計・施工によって、
どんな家でも“自分だけのホテル”のように仕上げることができます。

高級感の正体は、広さでも豪華さでもありません。
光の入れ方、素材の質感、暮らし方の工夫——
それらが整ったとき、人は「心地よさ」を感じるのです。

あなたも、自分だけの“ちょっと贅沢な空間”を、中古住宅で手に入れてみませんか?


 

2025年4月24日木曜日

「小さい家だからこそ、泊まりたくなる宿になる」最新民泊事情はこれ




予約の取れる民泊デザインと、設計者が語るリノベの勘どころ【2025年版】

空き家や築古住宅の活用、少し前までは「賃貸に出す」「解体して土地に戻す」などが主流でした。
でも今では、それらを小さな宿=民泊施設として生まれ変わらせる動きが広がっています。

私はこれまで、大工・設計者の両方の視点から「住宅→宿へのコンバージョン」に関わってきましたが、最近とくに感じるのは:

「広さより“使い心地”が求められている」ということ。

今回は、予約の取れる民泊施設の共通点や、設計者視点での空間づくりのポイントを、できるだけわかりやすくお伝えします。


✅ 民泊を始めるには何が必要?

まずは制度の話を少しだけ。

  • 【住宅宿泊事業】年間180日以内の営業(届出制)

  • 【旅館業法(簡易宿所)】営業日数の制限なし(許可制)

  • 【特区民泊】地域限定の緩和制度(特別認定)

いずれも必要な申請や設備がありますが、共通して重要なのが以下の3点です。

  1. 消防設備(煙感知器や誘導灯)

  2. 清潔で安全な水回り

  3. 近隣への配慮(騒音・ゴミなど)

「ちゃんとやれば誰でもできる」反面、設計の段階から民泊用として考えておかないと、後々困ることが多いのも事実です。


🌿 小規模でも「また泊まりたい宿」に変わる3つのポイント

① コンパクトで“気の利いた”間取り

予約数が多い施設は意外にも「1LDK(30㎡前後)」の物件。
大人数より、1~2人で静かに滞在できる宿が今のニーズです。

  • 小上がり寝室で空間を区切る

  • ワンルームにデスク&ミニキッチンで「暮らす感じ」

  • コンパクトだけど機能的な水回り配置

こうした細やかなプランニングが、「居心地の良さ」につながります。

② 世界観のあるインテリアと照明

今の宿泊者はまず「写真」で選びます。だからこそ、内装に物語を持たせることが大事です。

たとえば…

  • 【和モダン】畳 × 木目 × 和紙照明

  • 【北欧ミニマル】白 × 無垢材 × 差し色

  • 【古民家リノベ】梁や障子を活かした空間

私はパース作成も行っているので、「この物件ならこんな見せ方が映える」というビジュアル提案も可能です。

③ スマートな運営と衛生感

  • スマートロックや非対面チェックイン

  • 高品質な寝具とふとんカバー

  • 宿泊導線がスムーズな家具配置

こうした“見えない快適さ”が、レビューの高評価につながっていきます。


✍ 設計者だからわかる、民泊化で気をつけること

設計の立場からアドバイスすると、民泊において大事なのは「暮らすための家」と「泊まるための宿」の違いを理解すること。

よくある見落としポイント:

  • 換気が甘くてカビが発生

  • 壁が薄くて音漏れトラブル

  • 照明の位置や数が不適切

  • 収納不足でゴチャついた印象に

逆にここをしっかり押さえると、同じ坪数でもグッと印象が良くなります。


🏡 事例紹介:28㎡の中古住宅を「泊まりたくなる宿」に

築40年の木造住宅をリノベした事例です。

  • 小上がりで空間にメリハリ

  • 木格子と障子で柔らかく間仕切り

  • ミニキッチンと洗面で生活感もプラス

  • 和紙照明と調光式ライトで夜が落ち着く

この施設、現在は週末満室・レビュー平均★4.9を維持しています。


🧰 こんなご相談、ココナラで受けています

  • 民泊化を見据えた間取り提案

  • 空き家を宿にリノベしたい

  • 映えるパースを作ってPRしたい

  • 消防・衛生的にOKか事前に見てほしい

👉 「小さな家だからこそ光る宿にしたい」方、まずはご相談ください。
現地の条件やご予算に合わせたご提案を、図面・パース付きでご用意します。

\初回ヒアリングは無料で承っています/


🌱 最後に:小さな宿が、地域の魅力になる

宿泊施設に求められるのは「大きさ」より「体験価値」。
その地域、その建物だからこそ生まれる空間は、きっと誰かの“旅の目的”になるはずです。

小さな民泊、一緒に育てていきませんか?


 

急上昇トレンド

資金力では勝てない時代へ──旅行者の心をつかむ“宿の演出”とは? ~豪華さ vs. 温もり、オーナーの思想が宿ににじむ~

旅館業界において、今、2つの流れがはっきりと見えてきました。 ひとつは、都市部や外資系、または大手企業のバックアップを受けて、リノベーションやブランディングを進める「資金力のある旅館」。 もうひとつは、地方で長く家業として営まれ、家族単位でこだわりを持って続けている「個人経営の旅...