〜日本の“本物の魅力”を伝える空間づくりとは?〜
はじめに
インバウンド需要が再び高まりつつある今、旅館業界にとって「海外のお客様に選ばれるデザイン」とはどんなものでしょうか?
単なる“和風”ではなく、本物の日本らしさを体感できる旅館こそが、今や世界の観光客に求められています。
この記事では、数多くの旅館・古民家リノベーションを手がけてきた立場から、
海外観光客にウケる旅館デザイン5選と、やってはいけないNG例5選を紹介します。
また、理想の空間をシミュレーションできる「3Dパース」や「ウォークスルーVR」など、体験重視の時代に合った提案方法についてもご案内します。
第1章:海外観光客に人気の旅館デザイン 5選
1. 畳×ローベッド:伝統と快適性の融合
外国人旅行者にとって「畳の上で寝る」ことは憧れでありながら、腰や寝返りの問題で苦手とする声も多いのが現実。
そこで人気なのが、畳の上にロータイプのベッドを置くスタイル。
伝統の雰囲気はそのままに、快適な睡眠を実現できます。
✔️ 3Dパースで客室を可視化すれば、畳×ベッドの雰囲気を事前に伝えられます。
2. 自然素材を活かした「和モダンミニマル」
過度に装飾された“和風テーマパーク”のような内装ではなく、
無垢材・漆喰・竹など自然素材を活かした落ち着きのある空間が好まれます。
欧米圏を中心に「ミニマリズム」への共感が高まっており、日本の簡素美はまさにそれに合致します。
3. プライベート性を重視した露天風呂
大浴場が苦手な外国人観光客は少なくありません。
そのため、半露天付きの客室や貸切風呂が非常に高評価を得ます。
木の塀や石畳、坪庭を組み合わせた**“自分だけの日本庭園風露天”**は特に人気。
4. 障子越しの柔らかい光と景色
障子を通した柔らかい自然光や、窓越しに見える日本庭園の眺めは、
外国人旅行者にとって「映画のような日本」の象徴的体験です。
視覚・感情に訴える設計を、CGパースや動画で事前に提示すれば集客効果も上がります。
5. 文化体験を内包する空間設計
茶室風のスペースや床の間、着物をかけて写真を撮れるコーナーなど、
空間そのものが“文化体験”になる工夫が喜ばれます。
館内のデザインと体験要素をセットで企画することで、
「ここでしかできない体験」を演出できます。
第2章:やっちゃいけない旅館デザインの落とし穴 5選
1. “なんちゃって和風”でチープな印象に
海外ウケを狙って赤い提灯や金箔風装飾を多用した内装は、
本来の日本文化からは大きく逸脱しています。
「本物志向の旅人」はすぐに違和感を感じます。
2. 洋式ベッド+畳風クロスの“和風もどき”
近年増えているのが、畳風のプリントクロス+洋式ベッド+壁紙障子といった
一見“和”に見えるだけの空間。
ディテールの精度が低いと「フェイク感」が出てしまい、
レビューでも厳しい評価につながります。
3. 照明が暗すぎて写真映えしない
昔ながらの旅館では照明が暗く、特に海外客にとっては「陰気」「不安」といった印象になることも。
**「夜に撮影しても映える照明計画」**は必須です。
4. 動線が悪く、スーツケースの置き場がない
海外観光客は大きなスーツケースを持参するため、
玄関・床の間・ベッド脇などの荷物置きスペースが不足しているとストレスに直結します。
設計段階でのシミュレーションが重要です。
5. 文化ギャップを放置している(案内不足)
お風呂の入り方、靴を脱ぐ場所、トイレの使い方など、
日本特有のルールを外国語で明確に伝えていない旅館はトラブルの元です。
英語・中国語などで案内サインを整え、「わかりやすく安心」な環境づくりを。
第3章:空間体験は「見せ方」で決まる〜3DパースとVRの活用
せっかく理想の設計をしても、完成前にそれを正確に伝えることができなければ
予約にも繋がりません。
私たちは、旅館や宿泊施設のために:
-
3Dパースで客室・共用部の雰囲気をリアルに表現
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ウォークスルー型のシミュレーションで各部屋のつながりを体験可能
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デザインの海外向けプレゼン資料にも対応
「海外客向けの旅館を作るけど、自信がない…」という方は、
一度、3Dパースで空間を“見せる”ことから始めてみませんか?
おわりに:旅館の魅力は、ディテールと体験に宿る
日本の旅館がもつ“本物の魅力”は、決して派手さではありません。
木の香り、光の揺らぎ、風が通る音、そして人のもてなし。
この記事が、「海外からの宿泊客に選ばれる旅館づくり」のヒントになれば幸いです。
気になる方は、空間づくりのご相談もお気軽にどうぞ。
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